虫歯と歯周病の関係

一般的に言い伝えられている「虫歯になりやすい人は、歯周病になりにくい」。またその反対に「歯周病になっている人は虫歯が少ない」などとありますが、このようなことが本当にあるのでしょうか?

もともと、臨床では経験とその技術が大切にされ、適正な文献や臨床研究による資料はあまり重要視されてはいませんでした。しかし、現在では科学的根拠にもとづく医療に沿った治療が大切であるといわれています。

虫歯の罹患率は10代をピークとして、成人になるとその率は低下していきます。反対に、歯周病は35歳くらいから発症し、加齢とともに増加していきます。つまり、発症する時期が虫歯と歯周病では違います。したがって、患者さんの多くは「虫歯の人は歯周病は少ない」と経験的に思いがちですが、統計的調査から両者を平均してみると、あまり差がないといわれています。

虫歯も歯周病も細菌による感染が原因といわれています。両者とも原因菌は細菌プラークの中に存在しています。虫歯菌はストレプトコッカス・ミュータンスやストレプトコッカス・ソブライナスなどが原因菌といわれています。片や、歯周病原菌は多数の細菌があげられます。ポルフィロモナス・ジンジバリスをはじめとする嫌気性黒色色素産生菌などです。

虫歯菌は、たいてい歯の表面や溝などに付着し、目で比較的よく見ることのできる歯茎から上の部分に存在するので、「縁上プラーク細菌」とよばれています。歯周病原菌は、歯と歯茎の溝の中に歯周ポケットを作り、「縁下プラーク細菌」とよばれています。

虫歯菌・歯周病原菌とも、自分たちの勢力を広げるために、ほかの菌を攻撃する抗菌性タンパク質を作ります。このことをみても、生態系の作用はたいへん興味深いものがあります。この抗菌性タンパクは、バクテリオシンとよばれ、たとえばミュータンス菌群が作り出すバクテリオシンはムタシンとよばれ、歯周病原菌の黒色色素産生菌群を攻撃します。逆に、黒色色素産生菌群はミュータンス菌群を攻撃するメラニノシンを作り出します。

生態系は、各細菌が「共生」と「拮抗」という力のバランスを保ちながら、優勢な菌の多いほうに病気が罹患していきます。したがって、口の中でも細菌のバトルによって虫歯や歯周病に、あるいは2つ同時に罹る場合があります。細菌の世界だけでなく、生物には皆このような生存競争で自己の優位性を確保しているのです。


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