歯周病は「痛みなく進行する」というけど、それはなぜなの?

私たちの体のどこかで傷ついたとき、「痛み」という危険信号によって、異常が即座に大脳に報告されます。体の至る所に痛覚(痛いと感ずる感覚)の受容器(外界や体内からの刺激を受けとる器官)が配置されているため、すぐに異変に気付けるのです。

歯の神経(歯髄)にも痛覚受容器は存在します。たとえば、ズキズキして夜も眠れないほど虫歯が痛む場合、歯の神経が細菌に感染し、炎症が起きています。すると、血流により炎症部位にいろいろな免疫物質が運ばれてきて、充血が生じます。

このとき、歯の神経のスペース(歯髄腔)は一定で広がれないのに多くの血液が集まるので、歯髄腔の内圧が高まり、痛覚受容器が強く刺激されます。これが激しい痛みの原因です。皮膚に腫れものができたときに痛むのも、炎症している部位の内圧が高まっていることが原因です。

そして、歯茎にも痛覚受容器があります。歯茎が健康なときは、歯と歯茎が付着している部分はとても敏感に痛みを感じます。でも、歯周病になると痛みなく破壊されていくのですが、それは歯周病菌の巧みな作戦のせいなのです。歯周病の進行に沿って説明します。

 ①歯磨き不足のせいで、歯と歯茎の間に溜まったプラーク(細菌の塊)が悪さをしはじめ、歯茎に炎症が起きます。すると、免疫細胞のリンパ球が炎症性物質を出して痛覚受容器を刺激し、危険を大脳に知らせようとします。
 しかし、歯周病菌が出すいろいろな毒性物質が、リンパ球に炎症性物質を出させないようにします。つまり、痛みを出す信号をキャンセルさせているのです。さらに、毒性物質はリンパ球やマクロファージ(白血球の1種で、とくに外傷や炎症の際に活発である)に細胞死を起こします(細胞を自殺させます)。その結果、感じる痛みは最小限に抑えられ、歯茎がむずがゆい程度で終わります。

 ②異常に気付かないでいるうちに、歯周病が進行します。細菌の毒性物質が歯と歯茎の付着部分を破壊し、歯周ポケットができます。ポケットの内側の歯茎は、傷ができて出血しはじめますが、毒性物質の影響で痛覚受容器が正常に働かなくなるため、痛みは感じません。
 このとき、炎症により歯茎の血管が充血するので、体の他の部位なら内圧が高まって痛みを感じるはずです。しかし、歯茎の内側の傷口から出血しているせいで内圧は高まらず、痛みは感じません。

 ③血液を栄養に増殖した歯周病菌は、毒性物質によって、ますます歯茎の免疫を抑制し、痛覚受容器さえ破壊していきます。こうなると、歯茎は痛みを感じることのできないサンドバッグ状態に陥ります。歯茎がぷっくり腫れて内圧が高まったときは痛みを感じますが、それ以外は痛みなく歯周病が進んでいき(噛んだら鈍い痛みがある程度)、気づいたときには手遅れになっています。

「痛まないから大丈夫」が通用しないのが歯周病です。定期的な歯科受診が、歯周病の早期発見の王道です。


「きっかけ」は、あなたの未来を変えることができる好機です。アールクリニックを「きっかけ」に、健康な未来にしてください。皆様のご来院お待ちしております。

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