歯周病はどこからどのように始まるのか?

歯肉の症状と歯を支える組織の破壊

 ひどい清掃状態で歯肉の炎症がひどくても、歯を支える組織が壊れていない人は少なくありません。反対に清掃状態は大変良く、炎症がほとんどないのに骨が溶けている人がいます。歯肉の炎症が歯周炎につながるかどうかというと、それは細菌やバイオフィルムの問題ではなく、体の反応の違いによるらしいのです。体の反応は遺伝的に決まっているだけでなく、生活習慣などの環境によっても影響を受けています。ご両親のどちらかが、若い頃に歯を失ったという人は要注意です。

体の防衛隊が味方を破壊する?

 バイオフィルムの出す酵素や強い有害物質に対して、体は水際で抵抗します。歯と歯茎のつなぎ目で体が抵抗して歯肉の炎症が起こるのです。歯と歯茎のつなぎ目は、体全体の中で最も弱い裂け目なのです。
 歯根と歯肉は、歯肉の線維が歯根のセメント質にしっかりと入り込んでいますが、その外側は歯肉と歯がくっついているだけです。さらにその外側は、深さ1mmぐらいの溝です。
 歯肉に炎症が起こると、この歯と歯肉のくっついているところが外れ、溝が深くなります。ここではまだ歯を支える組織の破壊は起こっていません。体の防衛隊がバイオフィルムの毒を排除しようとして戦って歯肉の炎症が起こるのですが、防衛隊の反撃によって困ったことが起こります。防衛隊がめったやたらに反撃して、味方であるはずの歯を支える組織を破壊してしまうのです。歯周炎は、バイオフィルムが体の裂け目で起こす独特の病気だといえます。

ひどくなった歯周病は治らない?

 歯周炎のこの成り立ちを理解すると、ひどくなった歯周病の治療の難しさがわかります。では、ひどくなった歯周病は治らないのでしょうか?そんなことはありません。病気というのが、気分が悪くて調子の悪い状態のことをさし、それがなくなることを「治る」というのなら、どんなにひどくなった歯周病も治らない病気ではありません。ただし、凍傷で腐った指が元どおりになるという意味で「治る」というのなら、歯茎が腐ってしまう歯周病も凍傷になった指と同じように、歯が抜けてしまえば、自然にきれいに治ります。
 歯周病で歯がグラグラ揺れるのは、骨の支えがなくなるからです。体はバイオフィルムがこびりついた歯根を、排除しようとして歯から骨を遠ざけるのです。もし原因のバイオフィルムをすっかり取って、きれいな状態を維持することができれば、病気の進行を止めることもできます。ただし、ひどくなった場合は、きれいな状態を維持することが簡単ではありません。

老化で歯が抜けてしまうことはありません。歯を失う大半の原因は虫歯と歯周病です。そして歯を失う本当の理由は不適切な虫歯の治療と不十分な歯周病の治療です。歯周病の治療とはどういうものなのか、歯を失わないためにも知識を身につけておきましょう。


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