歯並びが気になり始めたら

歯はあごの成長を左右する

 子どもの歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)に生え替わる小学生の間、あごはグングン成長します。頭が大きくなるよりも、あごはずっと大きくなるのです。赤ちゃんの目は顔の上下2分の1のところにありますが、小学生の間を通じて目から下がグングン大きくなって大人の顔に変わるのです。
 この時期に、上の歯と下の歯の噛み合わせが逆になっていると、そのために、上あごの成長がじゃまされたり、噛み合わせがどんどん悪くなったりします。永久歯では通常、上あごの歯列が大きく、上から蓋をかぶせたようになってなっています。これが逆になっているのを反対咬合といいます。下あごが前に出ている反対咬合が目立ちますが、下の奥歯が外側に出ていたり、下の歯の一部だけが外側に出ているケースもあります。骨の大きさが原因で逆になっている場合には、外科的な矯正をしないとなおりませんが、歯の位置だけの問題であれば、早いうちになおして、骨が正常に成長できる状態にしたほうがいいでしょう。

不正咬合の検査

 歯並びや歯の噛み合わせの異常を、不正咬合と呼んでいますが、不正咬合には前に説明した反対咬合のほかにいろいろなものがあります。
 ただし歯並びや歯の噛み合わせには、「これは病気、これは病気じゃない」という診断の基準がありません。ですから、小学校の歯科健診で「不正咬合」をスクリーニングしていますが、統一された判定基準はありません。審査する歯科医によって違っても何の不思議もありません。これは、歯並びや歯の噛み合わせの障害が、命の障害ではなく、社会的な不都合であるためです。このため異常と正常の判定がとても難しく、小学校の健康診断に取り入れていることには無理があります。困ったことですが、学校歯科健診で、不正咬合といわれても歯医者さんで「問題なし」といわれることがあります。どちらかが間違っているように思われますが、そうとは限らないのです。

歯並びの治療もまずは原因両方

 悪い歯並びや悪い噛み合わせの原因は、遺伝、悪い習癖、噛み癖、ひどい虫歯などさまざまです。多くの場合、何らかの先天的な要素(遺伝)が関係しています。そこに別の要因が関わっていっそうひどくなったり、舌や口唇の悪い癖の呼び水となって原因は複雑になります。なかには、舌の癖だけが原因になっているような簡単なケースもありますが、ここに成長の影響が加わると歯並びの異常は複雑になります。たとえ舌の癖がなおっても、悪い歯並びは簡単にはなおりません。
 このため成長の終わった人の矯正治療では、原因療法だけでは、期待するような効果は上がりません。舌や口唇の癖、噛み癖などは、しばしば悪い歯並びや悪い噛み合わせの原因になっています。しかし、患者さんの無意識の癖を改善することは簡単ではありません。患者さんも協力が必要ですが、そもそも協力が得られないことも少なくないのです。このため、矯正治療では原因療法という最も大切な考え方があまり大事にされていないのが実状です。
 原因を知らないまま矯正治療で歯並びをなおそうとすると、うまく治療が進まないだけでなく、治療が終わった後に、後戻りが起こることがあります。

成長期の原因療法

 乳歯の根がいつまでも吸収せず、乳歯が抜けないことがあります。また骨の中に埋まった歯(埋伏歯)が、永久歯が生えるじゃまをしていることもあります。乳歯の虫歯治療が、永久歯に悪い影響を与えることもあります。口唇と歯茎の間にある小帯の位置も時々、歯並びに悪い影響を与えます。以上のような場合には、乳歯の抜歯や簡単な外科処置をすることが、原因療法になります。
 親指を深く口の中に入れる指しゃぶりは、悪い歯並びの最もハッキリした原因です。鉛筆や爪を噛む癖も噛み合わせに悪い影響を与えます。また舌の運動不足、発達不足、舌の癖(舌を噛む、突き出す)や口唇の癖(巻き込む、歯で噛む、閉じない)、口呼吸なども、悪い歯並びや噛み合わせを悪くする原因になります。
 癖を自覚して自己暗示をしたり、口唇や舌のトレーニングをすることが主な原因療法です。口唇を閉じない子どもは、口が開いていることに気づいたら、その都度、口を閉じるようにするだけでも意味があります。口唇を閉じる筋肉が発達していないため、ボタンを唇でくわえてひっぱる練習も効果的です。舌低位の子どもには、舌の動きを活発にするために、口蓋(口の中の天井)を舌でコンコンたたく練習がいいでしょう。どの訓練も効果は地味ですが、まず口の機能を改善することが歯列の形の改善につながるのです。


「きっかけ」は、あなたの未来を変えることができる好機です。アールクリニックを「きっかけ」に、健康な未来にしてください。皆様のご来院お待ちしております。

関連記事

  1. 仕上げ磨きのすすめ

  2. ひどくなった乳歯の虫歯の治療

  3. 子どもの歯が生え替わる前に知ってほしい

  4. 子どもの虫歯を理解しよう

  5. お口の育ちの確認は不正咬合を明らかにします

  6. 虫歯にかかりやすい年齢は?