矯正治療のメカニズム

歯の周りの骨は絶えず作り変えられている

 歯は、顎の骨の中に植わっていて動かないと思っている人が多いのではないかと思います。確かに歯の周りには植物の「ひげ根」のような繊維が生えていて、顎の骨の中に植物のように植わっています。しかし、花壇に植わっている花とは違って、歯の周りにあるのは生きた骨です。骨を食べる細胞が古い骨を食べ、そのそばで新しい骨の細胞が分裂して、歯の周りの骨は絶えず新しく作り変えられています。弱い力が長時間同じ方向に加わると、圧迫されている骨は破壊され、引っ張られているところでは新しく骨が作られて、その結果、歯の位置が動きます。
 花壇の花と違って、生きた骨の中にある歯は、舌の圧力、口唇の圧力、噛む力、歯列のアーチのバランスの中で、その位置をキープしているのです。歯を抜けたままにしていれば、そこに倒れ込み、口唇が力なく開いたままなら、舌から押される歯は外に出っ張ります。上下の歯が逆になっていれば、口を閉じているときに上の歯が内側に隠れる方向に力がかかってしまいます。押された方の骨がなくなり、反対側で骨ができていきます。

矯正のテクニックと患者さんの協力

 歯は噛み合わせの力や舌の力、ものを噛む癖などによって力のバランスが崩れると移動します。矯正治療というと、多くの人は針金を使って歯を動かす治療だけをイメージするかと思います。実は、バランスを崩す力をなくし、弱すぎる力を強くして歯にかかる力のバランスを回復するのも矯正治療なのです。このために口の周りなどの筋肉の訓練(筋機能療法)をします。そして針金を使うのも、この生きている骨の仕組みを利用して、何本かの歯を支えに動かしたい歯を動かしたい方向に動かすテクニックなのです。
 歯を動かす矯正の治療は、支えの歯の抵抗力、湾曲した針金が戻る力、バネやゴムの力、口唇や舌、噛む力を計算して、動かしたい歯を動かしたいところに動かします。このため、口唇や舌や指の癖がコントロールできなければ、歯は予想どおりには動いてくれません。口唇や舌や指の力も矯正装置と同じように計算に入っているからです。歯が予想外の動きをしたり、予想以上に時間がかかったりする理由のひとつはこの計算外の力のせいなのです。
 このため、矯正治療の結果には、患者さんの協力が大きな影響を与えます。長期間に渡って毎月毎月定期的に治療に通い、わずわらしさや痛みをガマンして、様々な装置やゴムを必要なだけ嵌めなければなりません。舌や口唇の癖を治さなければなりません。はじめのうちは痛みもあります。虫歯や歯茎の病気になりやすいので、治療中は特に丁寧に歯磨きをする必要があります。ですから矯正治療は、治療を受ける本人が治療の必要を十分に納得していなければなりません。

新しい力のバランスを守る

 動かす矯正治療が終わっても、新しい歯の位置で力のバランスが保たれるとは限りません。20歳以上になっても、顎の成長や歯列のアーチの自然な変化があります。そこで治療が終わったら何年か、歯並びを固定する保定装置を入れて後戻りを防ぎます。部分的に歯をつないで固定することもありますが、筋肉のバランス、噛み合わせの安定、癖の改善によって、歯を固定しないでも後戻りしないようにするのが理想です。


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