噛めないとどんな栄養が不足しやすいの?

食べづらいと感じると、その食べ物を自然と避けるようになってしまいます。その結果、どんな栄養が不足しやすいのでしょうか?

ご高齢になって歯が減り、失った歯の機能を補う歯科治療もきちんと受けていないといった状態を続けると、食べられないものが徐々に増えてきて、栄養摂取に問題を抱えるようになってしまいます。

食べたいものが食べにくいという状態は、誰もがストレスを感じることでしょう。ところが、最初はつらく感じていても、これが毎日続くうちに、つい食べやすいものばかりに箸が向くようになってしまいます。これは、つらいストレスから逃れるための順応なので、無理もありません。

そうこうするうちに、食の好みまで次第に変わってしまう方もどうやら多いようです。「年とともにあっさりしたものが好きになった」とおっしゃる方がよくおられますが、じつは食べやすいから好きになってきた、という可能性も否めないので注意が必要です。

歯が悪くなると、全体的に食が細くなってしまったり、やわらかいものを好んで食べるようになったりします。すると、食事全体に占めるおかゆやうどんなどのご飯類や麺類の比重が増えがちです。

また、手軽に満足感を得られる、お菓子の間食も増える傾向が見られます。その結果、糖質過多になりやすく、血糖値のコントロールが難しくなります。

また、根菜などは、ごくやわらかく調理しないと食べにくいため、市販のお弁当に入っているような根菜類に苦手意識をもつ方も増えてきます。食物繊維が不足すると便秘などの原因になります。

そして、さらに深刻なのが、タンパク質不足です。肉を噛み切ることが難しくなると、自然と箸が向かなくなって、知らず知らずのうちにタンパク質不足に陥りやすいのです。本当は肉好きな方も、歯が悪くて食べられないうちに、「歳のせいで好みが変わった」などと自分を納得させて、気がつかないうちに習慣化してしまったケースも見られます。

もともと高齢になると、タンパク質の体への吸収率が落ちますが、そのうえタンパク質の摂取量自体も減ってしまうと、深刻なタンパク質不足になって、筋肉量が減って、体力や免疫力の低下につながってしまいます。肉類に豊富に含まれる鉄分やビタミンAの不足も貧血や肌荒れの原因になって、体が弱く病気になりやすい体質に陥る一因となります。

噛めない人が陥りやすい栄養の偏り。栄養の摂取には、じつは歯の健康がとても大事だということなんです。


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