
舌や唇の感覚は皮膚感覚ではなく、空腹感や膀胱(ぼうこう)の感覚と同じ内蔵の感覚なのです。
人は誰に教えられるわけでもなく、本能的に快と不快の感覚をもっています。
赤ちゃんは、おっぱいを吸うと同時に、全ての感覚に先駆けてこの感覚を使い、手当たり次第に周囲のものをなめ回そうとします。
この「なめる」という経験が、自分以外のものを知ろうとする最初の主体的な行動です。
唇や舌が感じる快と不快という感覚は、心の発達のうえでも欠くことのできない感覚です。
しかも舌や歯、そして頬粘膜などの口腔感覚は、恐ろしく敏感で、しかも慣れてしまうと感じていることさえ忘れてしまうような不思議な感覚です。
だから赤ちゃんにとっても、性愛にとっても、とても重要な感覚なのです。
さて、この不思議な感覚を相手にしていることが、被せたり、入れ歯を入れたりという歯科治療の難しさを生んでいます。
処置に伴う急な変化にとても敏感なため、お口のなかの目ではわからない微妙な変化を、慣れるまでは耐え難く感じることがあるのです。
針小棒大(しんしょうぼうだい)という言葉がありますが、まさに毛筋ほどの形の変化でも、お口に入りきらない丸太のような太い棒に感じられ、気になり始めると、そこに舌先が自然に向かって、意識せずにはいられなくなるのです。
ところが一方では、歯の位置や形の大きな異常、あるいはひどい汚れや歯石でさえも、慣れてしまうと自分では全く気づきません。
だから、大きな形の変化を伴う治療をするときには、仮の歯をできるだけていねいに、最終的な仕上がりに似せて正確に作り、調整していくことが、満足度の高い治療の鍵になるということです。
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