インプラント治療にあたっての留意点

初診でインプラントを希望されている患者さんには、まずはインプラント治療がどういったものなのかを正確に知っていただく必要があります。インプラント以外の治療法と比較したうえで、その必要性、優位性をよく理解してください。また、費用やおおよその治療期間についてもしっかり把握していなければいけません。インプラント治療は、歯を失った場合の治療としては第一選択ですが、メンテナンスフリーで、入れてしまえば一生安泰、といった夢のような治療法ではありません。ぜひとも手術の偶発症や治療の予知性のレベルについても、この期間に詳しく説明を受けてください。

インプラント治療を受けるにあたっては、適切な治療計画が重要です。そのためには、次のような情報を総合的に判断していく必要があります。

  1. 失った歯の本数
  2. 骨の状態
  3. 審美性
  4. 咬み合わせ
  5. 歯を失った原因
  6. 治療途中の歯
  7. 新しい虫歯
  8. 詰め物が脱落した歯
  9. 歯周病

インプラントによってつくられる歯が前歯を含む場合は、そのおおよその見た目を確認する必要があります。すでに骨が失われている場合が多いために、患者さんが期待している完成形と、歯科医師ができるものとに差がある可能性があります。インプラントの上部構造は機能と見た目のバランスをよく相談していただく必要があります。特に骨の状態については、レントゲン写真による診断が重要となりますが、顎の骨のCT撮影を行うことで、より正確に骨の幅、厚み、三次元的な位置関係を知ることができます。CT撮影は複雑な手術には不可欠でもあるともいわれています。治療計画には、インプラント術を行う部位だけでなく、口のなか全体の治療も同時に考える必要があります。もし、治療途中の歯、新しい虫歯、詰め物が脱落した歯、歯周病等がありましたら、それらを含めたすべてが治療計画となります。

虫歯すべてを完治させてから、インプラント治療を始めることもありますが、長い期間が必要な場合には、まずインプラントを埋入してしまい、インプラントが定着するまでの時間を利用して虫歯を治療していく方法がとられることも多いです。しかしながら、歯周病については併行すべきではないという考えが主流です。多くの場合、歯周病が治癒しないままインプラント治療を始めるべきではありません。インプラントを埋入しても天然の歯と同様に歯周病と同じ病態(インプラント周囲炎)が起こることがあります。重度の歯周炎に罹患している口のなかの環境では、インプラントもインプラント周囲炎になりやすくなることは容易に想像できると思います。歯周病は、口のなかで繁殖する細菌を除去することで治りますが、その方法としては次の2つが重要といわれています。

  1. 自分がブラッシングによって細菌のかたまり(プラーク)を除去できるようになる
  2. 定期的に歯科医院で歯石を除去する

ですから、初診からインプラント治療を始めるまでには、まず歯周病の治療をしていただく必要があります。歯周病治療は歯磨き指導から開始されます。初診の時点で上手に歯磨きができている患者さんの場合は、この歯磨き指導にはさほど期間を要しないでしょう。しかしながら、歯磨きに問題がある場合は、改善されるまで歯磨き指導を受けていただく必要があります。歯磨きについては、歯科医師や歯科衛生士といった歯科医療従事者と、一般の患者さんとの間に認識の違いがあることがあります。一般の患者さんは、歯磨きはエチケットとしての口臭予防や自分の不快感の解消を目的とされていることが多いと思います。しかし、歯科医学的には歯磨きを、細菌を物理的に取り除くための手段、と考えています。すなわち、きちんとした歯磨きができるということは口のなかの細菌が取り除くことができる、ということです。

抜歯すべき歯がまだ残っている場合、抜歯と同時にインプラント埋入術をすることも多いですが、症例によってはいくつかの方法があります。骨が失われている原因については、次のことが考えられます

  1. 歯周病による骨の吸収
  2. 歯根破折による細菌感染による骨の吸収
  3. 虫歯が進行して歯根が膿んできてしまったために起こる骨の吸収
  4. 骨折による骨の損傷
  5. 入れ歯のバランスがとれていなかったことによる骨の吸収
  6. 骨格がきゃしゃなためにもともと骨が薄い患者さんの場合
  7. 先天的に歯が欠損している患者さんの場合
  8. 腫瘍などの手術によって骨が削除されている場合
  9. 上顎の場合、副鼻腔炎等の疾患があった場合

また、抜歯や骨量不足などがあるときのインプラント治療は、次のとおりです。

抜歯をして数ヵ月待ってもらう症例

とてもオーソドックスな方法です。抜歯した部分に骨が出来上がったことを確認してからの手術ですから安心です。その反面、トータルの治療期間が長くなるという欠点もあります。

著しく膿んでいる場合などに炎症を抑えてから手術する症例

主に過去に神経を抜いた歯で歯根の尖端が膿んでいる場合、歯根の治療をある程度行ってから抜歯したほうがいいことがあります。これは、抜歯せずに歯を残す場合と同じ方法で歯根の治療(根管治療)を行います。

骨の量が不足している症例

骨が少ない場所には骨を事前につくっておく必要があります。方法としては、骨の移植、人口骨の添加、専用の器具による骨の延長術等があります。

矯正的に歯を移動してから抜歯する症例

歯列矯正と同じように歯に力を加えると、歯は移動しますが、同時に骨もできてきます。数週間~数ヵ月、抜歯すべき歯を移動させた後にインプラント手術を行う方法です。


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